築浅マンション流通の実態(築10年以下は売れにくい?)
こんにちは。
不動産売却のコンシェルジュ、杉野です。
最近、同業者の方と中古マンションの取引をする機会があり、その際に市内の流通が鈍っているようだという話がありました。
具体的に言うと、福山市内にある築10年以下の中古マンションが売れにくい、ということです。
曰く、数年前は不動産ポータルサイトに不動産情報を掲載するとお客様からはもちろん、不動産会社からもひっきりなしに問い合わせが有ったのに、問い合わせ自体がめっきり無くなってしまった状況だそうです。
私も肌感覚で、中古マンションの売れ行きが以前のようにいかなくなってきていると感じていました。
それでは実態を調べてみようということで、本稿では福山市内の中古マンションを築年別に分析して、成約日数と販売価格、成約価格について調べてみました。
(データは2020年~2023年10月18日時点までの物を、レインズや不動産ポータルサイトを参照して当社独自に作成したものです。)
築10年以下のマンションが最も売れにくい実態
流通の実態を解き明かすために、まずは築年数別の平均成約日数を集計しました。
築年別平均成約日数(単位:日)
年代 | 築10年以下 | 10年超~20年以下 | 20年超~30年以下 | 30年超 |
全体 平均 |
2020年 | 78.1 | 107.8 | 105.6 | 182.0 | 103.4 |
2021年 | 145.3 | 145.5 | 119.3 | 161.6 | 140.9 |
2022年 | 171.2 | 116.9 | 153.7 | 112.4 | 131.0 |
2023年 | 140.0 | 81.9 | 119.7 | 122.5 | 113.3 |
ご覧の通り、2022年と2023年においては、築10年以下の中古マンションが売却に最も時間を要している事が分かりました。
冒頭の同業者の方との会話でも、築年数の浅いマンションが売れにくいという声があったことから、データで裏付けられたと言えます。
反対に、最も早く売却できているのは10年超~20年以下の中古マンションです。
「築10年以下」と「10年超~20年以下」との比較
両者の違いを比較するため、実際に販売中の中古マンションと、これまでの成約価格に注目してみます。
まずは現在の販売価格を調査するために、10月18日時点でレインズや各不動産ポータルサイトに掲載中の中古マンション情報を集計しました。
□築10年以下:15件
□10年超~20年以下:24件
築年数 |
平均販売価格 |
築10年以下 | 3035.9万円 |
10年超~ 20年以下 |
2751.6万円 |
平均成約価格が下の通りです。
築年別平均成約価格(単位:万円)
年代 | 築10年以下 |
10年超~20年 以下 |
20年超~30年 以下 |
30年超 |
全体 平均 |
2020年 | 2728.8 | 2679.5 | 1296.4 | 980.0 | 2209.8 |
2021年 | 2679.1 | 2492.4 | 1492.9 | 1258.9 | 2024.5 |
2022年 | 2573.3 | 2584.0 | 1670.2 | 1010.4 | 1752.8 |
2023年 | 2706.4 | 2686.1 | 1793.8 | 1201.5 | 1949.1 |
このような結果となりました。
以上の結果、2023年の平均販売価格と平均成約価格との価格差を計算すると、それぞれ次の通りです。
年代 |
販売価格- 成約価格 |
価格差 |
築10年以下 | 3035.9万円-2706.4万円 | 329.5万円 |
10年超~ 20年以下 |
2751.6万円-2686.1万円 | 65.5万円 |
築10年以下では、販売価格と成約価格との間に300万円超もの価格差があり、この大きな乖離が成約に至るまでの大きな障害になっている、つまり、売れにくくなっている原因と考えられます。
300万円超もの価格差が生まれる原因
価格差が生まれる最大の原因は、購入時に利用した住宅ローンと考えられます。
築年数が浅い場合、住宅ローンの元金の返済がそれほど進んでおらず、マンションの実勢価格を上回ってしまっている場合があります。
さらに、マンション売却時には不動産会社に支払う仲介手数料の他、銀行へ支払う一括返済手数料、司法書士へ支払う抵当権抹消登記費用も必要なため、思い切った値下げができないという現実もあります。
結果、マンションの相場よりも高い販売価格を設定せざるを得ず、実際の成約価格との間に300万円超もの大きな価格差が生まれてしまうのです。
まとめ
- 築10年以下の中古マンションの売却事情
築10年以下の中古マンションは、データによると売れにくい傾向にあります。
また、当初の売り出し価格から大きく値下げしなければならないケースも多く見られます。
- 売却成功のポイント
しかし、売れにくいといっても、適切な価格設定や販売戦略を行えば、確実に売却できるマンションもあります。
住宅ローンが完済できるだけの価格で売り出すのではなく、将来の資金計画や市場動向を考慮した価格で売り出しましょう。
- 住宅ローン残債の対処法
住宅ローン残債が残ってしまう場合には、無担保住宅ローンという代替手段や、売却損の損益通算という節税方法があります。
これらの方法については、専門家に相談することをおすすめします。
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