不動産は速く、高く、売れるのか?
投稿日:2023.01.10
こんにちは。
不動産売却のコンシェルジュ、杉野です。
今回は不動産広告でよくあるキャッチコピーの、「どこよりも速く、そして高く売ります!」について考えてみたいと思います。
この言葉に類するコピーは不動産のチラシでよく見かけることがありますが、まるで魔法の言葉のように聞こえないでしょうか?
普通に読めば、「速く売れてなおかつ高く売れるのなら、そこの不動産会社にお願いしよう!」というお気持ちになるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
実はこの言葉には、大きな矛盾をはらんでいます。
結論をお伝えする前に、こちらのグラフをご覧ください。
これは私が不動産売却を検討されているお客様に、その場で図示して説明するグラフなのですが、グラフの右に行けば行くほど時間が経過し、上に行けば行くほど成約価格が高いことを表しています。
成約する価格と経過時間の交わる点は、ご覧の通り、右斜め上に向かって上昇曲線を描きます。
どうしてこのようになるかと言うと、時間をかける方が不動産情報がより多くのお客様のもとへと届き、高額でも購入したいと考える方を見つけやすくなるからです。
高いピラミッドを築くには広い基礎を築く必要があるのと同じで、成約価格を高くしようと思うと、それなりに時間をかける必要があります。
ここで、先ほどの「速く、高く売ります!」という言葉を思い返してください。
もしも仮に、お客様の不動産が販売開始から1週間で、2,000万円という価格で売れたとします。
先ほどのグラフにプロットしてみましょう。
このグラフを見たときに、私は、仮に2,100万円だったら、2,200万円だったら・・・と、時間をかけてあげればより高い価格で売れたのではないかと思わずにはいられません。
私はこれを、検証することができないという意味を込めて、「ブラックな売却損」と呼んでいます。
検証不可能な200万円の「ブラックな売却損」が生じているかも・・・
もちろん、不動産の売却はケースバイケースであり、売主様の事情によって早期の現金化が望ましい場合があります。
そのため速く売ること事態は悪いことではありませんが、速く売ることと高く売ることは両立しないということを知っていただければ良いかなと思います。
しかし、タイミングによっては高値でも良いからその物件を買いたい!という方が現れることもあるため、不動産売却は難しく、そして楽しいものです。
結論「速く、高くは同時に実現しない」
以上、結論として、速く高く売ることを同時に実現することはほとんど不可能と言うこととなります。
「速く安く売ります!」、もしくは、「ゆっくり高く売ります!」、と言い換えると、わかりやすいのではないでしょうか。
(ただし、不動産チラシにこのようなコピーがあったとしても、目を惹かないのは明らかですから、まず使われることはないでしょう・・・)
注意が必要なのは、とにかく高く売りたいからどれだけ時間をかけても良いと言われましても、かえって相場よりも価格が下がってしまうほど値下げしなくてはならないこともあります。
売却期間は3カ月以内、というのが一つの目安となりますので、ぜひこれから不動産売却をお考えの方は、当社の売却査定サービスをご検討くださいませ。
【おまけ】
「このマンションを買いたいお客様がいます!」
は、高く売れるのか?
特に、マンションの売却募集をする場合において、「このマンションを買いたいお客様がいます!」と謳うチラシがまれにあります。
これは確かにお客様がいるのかもしれませんが、先ほどの原理を思い返していただくと、やはりブラックな売却損が発生するかもしれません。
特定のお客様にだけ広告するよりも、不特定多数のお客様に広く広告した方が、高額で売却できるチャンスは増えるからです。
チラシのキャッチコピーに舞い上がることなく、一度冷静になって考えていきましょう。
不動産の広告はキャッチコピーの宝庫であり、どうすればお客様に思いが届くかということを、不動産会社や広告会社は日々模索しています。
一方で、不動産の景品表示法は年々規制強化がされており、誇大広告や虚偽広告をすることは厳しい罰則を受けることとなります。
私自身、正しい知識と正しい情報をお届けできるように日々勉強をしてまいりたいと、本記事を執筆しながら思いました。
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